2020年2月2日の説教要約  「天地を創造された神」

2020年2月2日の説教要約

           「天地を創造された神」 中道由子牧師

                    ≪初めに、神は天地を創造された。≫ (創世記1章1~25節)

 

 デニス・ゴードン・リンゼイという先生が「起源論争―創造か それとも 偶然か」という本を書いています。「はじめに―進化論は言う―ねばっこいものがあった。聖書は言う―神様があった。進化論は、適切な答えを用意してくれるでしょうか。私たちは実際に奇形の類人猿からやって来たのでしょうか?そして、その類人猿はどうやって造られたのでしょうか?彼らの先祖は、化学物質のスープのような海から来たのでしょうか?それとも暑い、ガスの雲からでしょうか?もしそうなら、そのスープやガスはどこから来たのでしょうか?」

起源についての考え方は、その人の人生観、すべてに影響を及ぼします。

 同志社大学創立者であられる新島襄先生は、初めて聖書を手にした時、一番最初のページに「はじめに神は天と地を創造された」という言葉を読んだ時、たいへんな衝撃を受けたそうです。この言葉だけで神を信じ、クリスチャンになったそうです。

本当に心に受け止める準備のある人にとって、この言葉は何という偉大な言葉でしょうか。

 

1、初めに神は天と地を造られた

 ここで、初めに、天と地があったのではなく、神がおられた。すべての存在の起源は、この神であります。しかも、この創造された、造った、というこの言葉はヘブル語の「バラー」という言葉です。このバラーは「今まで存在していなかったものを存在させる」、「無から有を造る」創造の業であります。

何かが進化して次のものができた、ということがないのです。

 ある方と創世記から学んでいた時「これは誰が書いたのですか?」と質問されました。

実はこの創世記から申命記まで「創世記、出エジプト記レビ記民数記申命記」の最初の五書はモーセによって書かれたと言われています。そのモーセがこれを書いたのだったら、天地創造の時それを見ていたのだろうかといえば、実は見てはいませんでした。

そういう天地創造の話がエジプトやバビロンの国やいろんなところ、世界各地にありました。にもかかわらずモーセは、紀元前千五百年代にこの創世記を書いたとされています。モーセは、自分が生きている世の中で、先祖代々伝わっているいろいろな話を聞いたことでしょう。天地がどのように造られたか、先祖代々たどっていくとアダムにまで行きつくでしょう。神はアダムに、どうやってアダムを造ったかお話になり、アダムは神からどのように天地を造られたかを聞いたでしょう。そういうことが、物語として伝えられてきたのであります。どうしてこのモーセが「はじめに神は天地を創造された」というこの言葉の中に、これが真実だと考え、信じることができたのでしょうか。

それは、モーセの生涯における一番大きな出来事があったからです。

出エジプト」です。イスラエルの民が400年エジプトの奴隷として過ごしてきた苦しみの中で、モーセを指導者として神がお立てになりました。そして神の民をそのエジプトの奴隷から解放してくださった。40年間先頭に立って民をエジプトからカナンの地へと導きだしたモーセを支えたのは、神の力強い「救いの御業」でありました。彼らがエジプトから出て、もうこれで荒野に逃げられると思ったのに、エジプトのパロの軍隊が追ってきます。目の前は紅海でした。どうにもならない、絶対絶命の時、神は海の水を真っ二つに分けて、紅海を渇いた地として逃れさせてくださった。救いの神の御業を経験したモーセは、神がなんと偉大で力強い、全能のお方であるかを目の当たりに見せていただいたのです。

自分が救われるという救いの驚きの経験から、自分自身が神の救いに預かった、この光の中で聖書を読む時に天地創造の業は現実となるのです。

 

2、すべてに秩序があった

 最初は、何もなかった。秩序がなかったのです。ここに、闇があった。この闇が、大いなる水とじかに接していて、それを覆っていたのです。このような真っ暗な混とんの状態、闇に対して、それを支え、希望を与えるのが「神の霊」です。「闇」が覆っていた水の上を神の霊は動いていた、と書かれています。聖霊なるお方はすでにいた。三位一体の神が、おられました。

 神様が創造の時に用いられたのは、何か?ことばでした。

ヨハネによる福音書1章1節「初めに言があった。言は神とともにあった。」とあります。

神様は人格を持っておられ、その神様が語る言葉は、創造の力そのものでした。3節「光あれ。」と神が言われると、光ができた。人間にとって光は不可欠です。

闇に覆われた地に光を創造することで、神は人間が住む世界の備えをなされた。天国に行ったら闇はなく、光はいらないのです。ヨハネの黙示録22章5節「もはや、夜もなく、ともしびの光も太陽も要らない。神である主が僕たちを照らし、」イエス様ご自身が光であるからです。

この地に住む私たちのためには光が必要です。神はまず光を創造されました。多くの新興宗教は光を神と崇めますが、神によって光は造られたものなのです。

4節に「神はこれを良しとされた。」と書かれていますが、へブル語で、「トーブ」と言います。よかった、と神様は満足された、絶賛されたのです。この言葉は、創造の際に何度も出てきます。神様はご自分が造られたものをよし!と満足して造られた、神の傑作品であります。

神様は光と闇を区別して、それが交互に来るようにされた。ですから、御業を終えるたびに、「夕があり、朝があった」と言われているのです。ユダヤの一日は、夕方から始まります。しかし、ここには霊的な意味もあると思うのです。闇を覆う夕暮れがあり、私たちは休みに着きます。しかし、朝が来るのです。どんなに暗い現実があっても、日々新しい創造の業が私たちを待ってくれています。

詩篇30章6節「泣きながら夜を過ごす人にも、喜びの歌と共に朝を迎えさせてくださる。」

私たちの人生にも、夕がありますが、神様は常に朝を備えてくださるお方です。

次に大空です。この大空も神の言葉によって造られました。この大空が造られた目的は、大空の下にある水と大空の上にある水が区別されることでした。この大空が水を押しのけて空間が造られた、そこで人間は生き、生活の場が備えられたのです。

この第2日目と14節の第4日目が関連があります。大空にある光る物に対して、「昼と夜とを区別せよ。」と命令された。すると、「大きい方の光る物」は、太陽に、「小さい方の光る物」を月として昼と夜を治めたのです。太陽と月は、人間の生活にとって不可欠な3つの役割があります。

まず第一に、昼と夜を区別するためでした。人間が昼間活動して、夜には休むように神様はご配慮くださいました。現代人は電気や他のエネルギーによって、夜遅くまで起き続けるようになりました。それによって、神が創造したリズムを狂わせてしまって、私たちの健康も損ねてしまうことがあります。

 第二の役割は、人間の歴史や生活の営みのために、また春夏秋冬の月の初めの行事、年中の特別な行事のためです。人の生活にリズムや変化が与えられ、その一つ一つの機会に人間はこの自然を導かれる主を思い起こして感謝するのです。

 第三の役割は、「地上を」照らすことです。光によって初めて命あるものが生きることができます。

 4日目を先に話してしまいましたが、3日目の乾いたところは、地です、この地と光が照らす役割とは大きな関連があります。地は私たち人間が生きていくところです。神は、乾いた地が現れるように命じました。もともと水の下には水によっておおわれた固い部分があって、この命令によって水が一か所に集まったため、乾いたところが現れたのです。人間と動物や植物が生きることができる場所が備えられました。神様は、この乾いた地に人間が生きていくための環境を整えようとされました。

それぞれの植物には、それぞれの特徴と役割が与えられています。その特徴を生かしながら共存して、全体として人間に仕え、神の栄光を現しています。そして、この植物には光がどうしても必要なのです。

ひとつひとつの創造の業は、必ず関連があり、秩序がそこにはあります。

神様は素晴らしいお方で、これらの自然を通して人間の心に神はおられる、と啓示を与えられました。山を見ても海をみても、人が神を思い、感謝し、その偉大さに圧倒される、またその自然の優しさに癒されるのです。 生き物が活躍する舞台が完了しました。

そこで神は生き物を創造されました。まず、水の中のもの。そして、地の上、空を飛ぶ鳥が、5日目に造られました。水族館に行くと、きれいな熱帯魚もいれば、サメのような大きな魚、えいのような独特な形のもの、くらげのように脳もなく、心臓もないのにふわふわと泳いで、見ている人に癒しを与えるもの、神様は不思議なものを造られます。

そして、6日目に地の獣、それぞれの家畜、土を這うものが造られました。2章20節によると、人間がこれらの生き物に名前を付けたのです。これらの生き物は神の栄光を現すために造られました。

「産めよ。増えよ。」と祝福されました。特に「家畜」と表現されている生き物は、人間に最も近く生活し、人間を助け、深い関りをもっています。

NHKの大河ドラマに出ている主人公、明智光秀を演じている長谷川博之さんは、「馬に乗ると、この馬と相性があうかどうかわかる。」そして、「その相性がいい馬に乗ると心が癒される」と言っていました。動物は私たちのために生きてくれて、神の栄光を現しています。このように、人間が生きていくことができるために、一つ一つ順序正しく準備されています。神様が私たちを深く愛していてくださる、ご配慮がうかがわれます。そこに秩序があります。それぞれに特徴があって、一つ一つのものがそれぞれの役割を果たすことによって全体が保たれています。

そして、すべての創造の中心は、私たち人間です。

神様は、悪い人にも良い人にも太陽を昇らせてくださる。正しい人にも正しくない者にも雨を降らせてくださる。それが私たちの天のお父さんです。