先週の説教要約 「元気を出しなさい」

○先週の説教要約
『元気を出しなさい』                   上中 栄牧師
《ですから、皆さん、元気を出しなさい。わたしは神を信じています。わたしに告げられたことは、そのとおりになります》。(使徒 27:21−26)
《元気を出しなさい》。パウロ最後の旅は、ローマへ護送という形で実現しました。途中船が嵐に遭い、絶望的な状況の中でパウロは人々を励ましました。
この励ましには、根拠がありました。それは、《わたしに告げられたことは、そのとおりになります》という信仰です。《天使》とは伝達者の意味ですから、《告げられたこと》とは神の言葉です。音だけで消えてしまうものではなく、出来事になるのが神の言葉です。旧約聖書預言者は、単に未来を言い当てるのではなく、神の言葉が出来事になると告げたのでした。
神の言葉の中心は、神の救いと恵みです。後にパウロは人々に食事を勧め、人々は《元気づい》たとあります。その食事は、感謝してパンを裂くという、聖餐を想起させる表現で記されています。救いが出来事になるという信仰です。
困難のただ中にいる人の一番の関心は、この先のこと、未来のことかもしれません。しかし、そうした中で神の言葉を聞くとは、事態の好転より、困難の中でも救いの恵みが出来事になると信じることです。では、ただ神の言葉を信じ、そうなるよう念じていれば何とかなるのでしょうか。パウロは、できることは何でもやりました。み言葉の実現のために、自分も労したのです。
なぜなら、パウロには目的があったからです。それは《皇帝の前に出頭》すること、つまりキリストを証しすることでした。神の励ましは、困難から解放されることだけが目的でなく、その先の生き方につながっていきます。
《元気を出しなさい》という言葉は、《喜び》とも訳されます。困難の中で、元気や喜びが自然に出てくることはありません。自らの心をコントロールする必要があります。神の言葉に支えられるなら、現状をわきまえた上で自らを律し、目的をもって前進できるのです。《元気を出し》ていきましょう。