2019年10月20日の説教要約
「自分で自分を励ます」 中道善次牧師
<サムエル記上30章6節>
今日学ぶのはダビデの人生からですが、最初に、出血を病む女の癒しの物語を語ります。
マルコ福音書5章に出てくる出血を病む女は、資産家の娘だったようです。しかし医者にかかっても、治療のかいがなく、全ての財産を使い果たしました。
しかしこの女性は諦めず、信仰の言葉を口にしていた。自分で自分を励ましていたのです。
それがマルコ福音書5章28節の「この方の服にでも触れればいやしていただける」と思っていたからである。
「思っていたからである」という所をある英語訳では、She said to herself シー・セッド・トゥー・ハーセルフと記します。直訳するなら「彼女は自分自身に語りかけていた」となります。
自分の中で、独り言を言うように、「み衣の裾に触ればきっと直る」と繰り返し語っていたのです。
これから、ダビデの人生の起こった危機を取り上げながら、彼が「励まし」によって、それを乗り越えていったことを学んでまいりたいと思います。
①.友からの励ましを受ける: サムエル記上23:1~14の物語から
この箇所でダビデは、がっかりする出来事に遭います。ダビデはケイラという場所を助けに行ったのです。危険をも顧みずに。しかしその場所に、サウルがせめてくるという情報が入った。ケイラの人は助けてもらった感謝を忘れて、ダビデ一行をサウルに引き渡そうとする。それを神様から教えてもらったダビデは、ケイラの人々のもとを去って、再び荒野を放浪するのです。
ところがそこへダビデの親友ヨナタンが訪れるのです。ヨナタンは、ダビデのがっかりした様子を知って、ここでダビデを励まさなければいけないと思ったのです。
サム上 23:16 そのとき、サウルの子ヨナタンがホレシャにいるダビデのもとに来て、神に頼るようにとダビデを励まして、
ヨナタンはここでダビデに励ましを与えるのです。それは、「神に頼るようにとダビデを励ました」のです。ヨナタンが語ったことを想像していうなら、「ダビデ、神様を信頼していたら、大丈夫」という、励ましであります。
ダビデは、信仰の友の言葉を通してどんなに勇気付けられたでしょうか。
自分で自分を励ます前に、友人からの「励ましを受ける」ことが大切です。神様信じたら大丈夫だから。あなたにはそのように言ってくれる信仰の友達がいるなら幸せです。
②.自分で自分を励ます: サムエル記上30章の物語から
ダビデは再び危機に陥ります。ダビデはサウルから逃れる為に偽装工作をしました。それは敵地ペリシテに寝返るという行為でした。正確に言うと、寝返った振りをしたのです。そしてアキシという王の信頼を得たのです。ダビデは嘘をつきながら、1年4ヶ月敵地ペリシテの部下になりました。
嘘をついて敵の中にいる時でも神の守りを受けることがありますが、やはり、何時までも続きません。ある時、出陣を命じられて、留守をしていた数日間の間に、アマレクがやってきて、家族が襲われたのです。
これはダビデの危機でした。それは捕らわれていった家族がどうなっただろうかという前に、今まで苦楽を共にしてきた部下、荒野を一緒に逃げてくれた600人の部下たちが自分に向かって石を投げようとしている。それが30章6節です。
サム上 30:6 兵士は皆、息子、娘のことで悩み、ダビデを石で打ち殺そうと言い出したので、ダビデは苦しんだ。だが、ダビデはその神、主によって力を奮い起こした。
カトリックのフランシス会訳では、「ダビデは神ヤハウエにより頼んで、自分を奮い立たせた」とあります。先ほどのヨナタンの励ましの言葉、「神により頼むように」という言葉と響きあっています。ダビデは、ヨナタンの励ましの言葉を思い出し、「神様を信じれば大丈夫だ」、「ダビデよ、今こそ神様を信じるのだ」と、自分で自分を励ましたのです。
ヨナタンはここにはいませんが、ダビデは、自分で自分に対して「神による力づけ」を行ったのです。
③.仲間に対する励まし
最後に、主によって自分を力づけたダビデのその後を見て見ましょう。
30章7~9節です。
サム上 30:7 ダビデは、アヒメレクの子、祭司アビアタルに命じた。「エフォドを持って来なさい。」アビアタルがダビデにエフォドを持ってくると、
サム上 30:8 ダビデは主に託宣を求めた。「この略奪隊を追跡すべきでしょうか。追いつけるでしょうか。」「追跡せよ。必ず追いつき、救出できる。」
サム上 30:9 ダビデと彼に従う兵六百人は出立した。ベソル川に着くと、そこで落伍者が出た。
その結果は19節です。
サム上 30:19 年若い者も年寄りも、息子も娘も、戦利品として奪われたものもすべて、ダビデは残らず取り返した。
無事に、家族も奪われたものも全部を取り返したのです。
ここにダビデの第三の励ましを見るのです。それは単に自分が落ち込まないようにするだけでなく、落ち込んでいる、また怒っている、周囲の者たちをも励まし、引き上げ、一緒に追撃しようと動かしてしまう励ましです。ダビデは、怒っている側近の者たちを逆に励まし、一緒に追撃しました。
励ましの言葉は、自分に向かって怒っている人々の心を変え、彼らも励まし、一緒に事をなし、成功に至らせるのであります。
励ましの力を覚えましょう。