2020年11月8日の説教要約  「神の不思議な導き」

2020年11月8日の説教要約

                           「神の不思議な導き」   中道善次牧師

パウロがこの幻を見たとき、わたしたちはすぐにマケドニアへ向けて出発することにした。マケドニア人に福音を告げ知らせるために、神がわたしたちを召されているのだと、確信するに至ったからである。」  

                                                                  <使徒言行録 16章10節>

 

 

今日は、使徒言行録16章6~10節に出てまいります「聖霊がある場所での働きを禁止された」という箇所にチャレンジしたいと思います。ここから導き出されるメッセージは、神様は不思議な導きをなされるということです。

私の願っている道が閉ざされた、がっかりした、あるいは妨害が入って苦い思いをした。しかしそれらを越えて、神の導きはすごい、素晴らしい。そのような事をご一緒に学びたいと思います。

 

① 聖霊の禁止とは

6節に、「聖霊から禁じられた」という言葉が出てまいります。7節には「イエスの霊がそれを許されなかった」とあります。7節の意味も6節と同じで、聖霊が禁止された事です。

何をどのように禁止されたのでしょうか。

6節に「彼ら」とあるのは、パウロと弟子になったばかりの若いテモテと使徒の働きを書いたルカなどが含まれていました。彼らの計画は、アジア州に福音を伝えることでした。アジア州とは、地理の言葉で言う小アジア、今のトルコの国がある地域です。聖書の時代、トルコの西南部をアジア州と言いました。

ところが一行はアジア州の伝道計画の変更を余儀なくされたのです。彼らの計画は「聖霊から禁じられた」のであります(6節)。彼らが予定している進路を進んで行けば、そこにはコロサイ、ラオディキヤ、そしてアジア州の州都エフェソに行きますが、パウロ聖霊の導きに従い、アジア州での宣教を断念して、北上し、ガラテヤ州フリギア地区といわれている地方を通り、ミシアの近くまで来たのです。

ミシアはアジア州の北に位置する地域の名前です。彼等はここで、ミシアのさらに北東に位置するビティニヤ、黒海に面した地域に入って伝道しようとしたのですが、再び「イエスの霊がそれをお許しにならなかった」のであります(7節)。

彼等は、進路を西に取らざるを得なくなったのです。西へ行けば、エーゲ海に面するトロアスに出ます。彼等は御霊の導きに従い、そのトロアス目指して進んで行ったのです。トロアスは、マケドニアに向う船がでている港町でありました。

では、聖霊の禁止とは、どのようなことでしょか?

聖霊が心の内側に直接語りかけることがその一つとして考えられるでしょう。

しかしもう一つの考えがあります。それは何らかの事情で計画通りに行かなかったのです。迫害のような反対があった可能性。またはチームを受け入れてくれる家がなかった可能性。あるいはチーム内の意見が一致しなかった可能性があります。

彼等が何を聖霊の禁止と受けとめたのか定かでありませんが、ルカは伝道の計画と実行の中に聖霊が確かに介入されたと受け取ったのです。

パウロは、何が何でも自分の計画通りに事を推し進めようとしたのではなく、聖霊の導きをその都度その都度仰ぎながら伝道していったことが、ここからわかるのであります。

道が閉ざされて、計画通りに行かないときに、いらいらしないで、へりくだって、感謝してその事を受け止め、神よ、あなたのもっと素晴らしい計画と導きはどこにあるのでしょうかと祈るのです。

 

 

② 聖霊の禁止の目的

聖霊なる神は、ただストップをかけて、止めなさいというだけでなく、今、それをするときではない。別のことをするときだ。そのように、神様は別の道を開かれるのです。

聖霊に禁じられ、導かれてトロアスに来ました。パウロはその場所で幻を見て、声を聞くのです。それが9節です。マケドニアというのは、ギリシャの北に位置します。この時代は国名ではなく、マケドニア地方でした。そこでパウロは一つの結論に達するのです。それが10節です。海を渡ってヨーロッパに行く。それがこれまでの聖霊の禁止の目的であり、導きであったと確信したのです。

10節の中にある「確信するに至った」と訳されている言葉は「一緒に結び合わせる」と言う意味のギリシャ語です。色々な証拠から一つの結論を引き出すことを現すのに使われます。

パウロは目の前に横たわる対岸のギリシャの島々を見ながら、ローマの主要な州の一つマケドニアに思いをはせるのです。やっとここで二度も聖霊に禁じられた意味が理解できたに違いないのです。

神は福音宣教がアジアからヨーロッパに向けて進められるように計画しておられるのだという結論に達し、伝道チーム一同がそのことを確信したのであります。

いつでもヨーロッパに行けたではないか。確かにそうかもしれません。しかし神は、時をご存知です。その時ちょうど、リディアという女性がピリピから仕事でやってきてヨーロッパに滞在していたのです。彼女の家を中心にして、たちまちフィリピ教会が出来上がったのです。ヨーロッパで最初の教会が誕生したのです。パウロよ、このチャンスをのがしてはならない。アジア州に行くより、今はフィリピなのだ。

ピンチはチャンスという言葉がありますが、道が閉ざされると目の前が真っ暗になります。しかし神は別の道を用意していてくださるのです。パウロ一行は、聖霊の禁止があったからこそ、ヨーロッパ伝道に導かれたのであります。道が閉ざされたと思った出来事が、最善の時を知る神による導きなのです。

 

 

③ 禁止された場所に行く

パウロがアジアで福音を語ることを禁じられたのは、第二次伝道旅行の時でありました。では、その後もアジア州に伝道に行ってはいけなかったのでしょうか。そうではありません。

パウロは3回の伝道旅行をしておりますが、第三次伝道旅行ではアジア州の州都エペソに長期滞在して福音を語っているのです。それが記されているのは、使徒19章であります。

このことからわかることは、神は別の目的の為に、第二次伝道旅行では、アジアで福音を語ることを禁じられたのです。別の目的とは、ヨーロッパ伝道の絶好のチャンスということでありました。『聖霊の禁止』とは、アジアで宣教することを全て否定することではなかったのです。

さらにアジア宣教、エフェソでの伝道ということを考える時、それも第三次伝道旅行の時がチャンスだったのです。何故なら、第二次伝道旅行の時、ギリシャのコリントでアキラとプリスキラという素晴らしいクリスチャンの夫婦に出会ったのです。彼らは、コリントの開拓伝道を助けてくれました。そして第三次伝道旅行の時には、パウロより先にエフェソに来ていて、エフェソ開拓の準備をしていてくれたのです。

私たちの道が、今閉ざされているとしても、がっかりしないで、諦めないで下さい。もっと良い別の道が用意されているかもしれません。あるいは、今がその時ではない。神からお取り扱いを受けて、最善の時にその願っている道が与えられる事があるのです。

聖霊様のストップを喜んで受け入れ、神の最善を信じられる私達の歩みでありたいと思います。