2022年2月13日の説教要約
「極めてよかった」 中道善次牧師
≪創世記1章26~31節≫
今日、礼拝で取り上げたいヘブライ語は、トーブです。
聖地イスラエルでは、英語が通じますが、公用語はヘブライ語です。イスラエルに行きましてよく耳にする言葉の一つが、トーブです。
旅行者用に簡単に覚えられるヘブル語の一つが、ボーケル・トーブです。これはおはようございます。英語で言うとグットモーニング、そのグッドに当たる言葉が、トーブであります。
また現地の人が、会話の中でトーブと言っているのを耳にしました。英語で言えば、グッド、うん、それでいいよ。よかった。そのような言葉遣いであります。
1、神は満足された
アメリカの神学校で旧約聖書を学んだ時、教授が言っていた言葉を印象深くおぼえております。
神は天地を作られ、人間を作られ、そしてその度におっしゃった言葉がある。それはヘブライ語のトーブ、英語ではgoodであります。それを見てまいりましょう。
創 1:4 神は光を見て良しとされた(トーブ)。 第一の日
ヘブライ語では、キー トーブ。 日本語の意味は「実に、良かった」
創 1:10 神は乾いたところを地と呼び、水の集まったところを海と呼ばれた。神は見て良しとされた(トーブ)。
創 1:12 地は草木を生じさせ、種をつける草をそれぞれの種類に従って、種のある実をつける木をそれぞれの種類に従って生じさせた。神は見て良しとされた(トーブ)。 第三の日
創 1:18 昼と夜を治めるため、光と闇を分けるためである。神は見て良しとされた(トーブ)。 第四の日
創 1:21 神は大きな海の怪獣を創造された。水に群がりうごめくあらゆる生き物をそれぞれの種類に従って、また、翼のあるあらゆる鳥をそれぞれの種類に従って創造された。神は見て良しとされた(トーブ)。 第五の日
創 1:25 神は地の獣とそれぞれの種類に従って、家畜をそれぞれの種類に従って、地を這うあらゆるものをそれぞれの種類に従って造られた。神は見て良しとされた(トーブ)。 第六の日
2日目を除いて、神はご自分が作られたものを見て、「よし」とされた。そこには、美しい、調和がとれている、神が見て満足されたという意味が含まれているのです。
6日目には、動物を造り、最後に人間を作られた。天地創造が完成したのです。そして神はおっしゃったのです。31節で ヒンネー トーブ メオード。 見よ、極めて良かった
英語では、very good、日本語では、とてもよかった。極めてよかった。メオードとは、辞書を見ると、ベリ-、パワー、ハイエスト・ディグリー。この上もなく。最高!
神様が、私たちを見て、とても満足されたのです。
この言葉の中に、神によって造られた人間の祝福の原点があるのです。
神は、人を造ったあと、人を祝福したと28節に書かれています。
ここに人間の原点があるのです。私たちは、神様から褒められて、祝福を受けて造られたのです。その姿は、ベリーグッドなのです。パーフェクトなのです。この上もなく素晴らしいのです。
第一のメッセージとして受け止めていただきたいことは、私たちはとてもよく造られた。ベリーグッドな存在であるのです。
2、God is good 神は善い方
♪God is so good♪という賛美があります。
他にも、God is good を繰り返す賛美がたくさんあります。日本語では♪主はよい御方♪であります。
では、God is good という言葉は聖書のどこに書かれているのでしょうか?
最初に思い出して、調べた箇所が詩編119:68です。
詩編119:68 あなたは善い方、善いことをなさる方
ヘブライ語で調べました。トーブという言葉が、ここに2回使われています。
今から24年間、ホーリネス教団から出版された説教集「向こう岸の不思議」の中に、私の説教も一つ掲載させていただきました。証を中心とした説教ですが、説教題を『最善をなさる神』。そして聖書箇所を詩編119:68としました。
メッセージです。
他にもGod is goodが出てくる聖書箇所がたくさんあるのです。
詩編 34:9 The Lord is good 味わい、見よ。主の恵み深さを。
詩編 106:1と107:1 For he is good まことに、主は恵み深い。
詩編 145:9 The Lord is good to all 主はすべてのものに恵み深く
日本語の聖書では、恵み深いという言葉で表現しておりますが、ヘブライ語はトーブであります。
トーブ、神様がよい御方で、私たちによいことをして下さる。それは言葉を換えると、主は私たちにとって恵み深い御方なのです。私たちの人生に美しいことを、素晴らしいことをしてくださるのです。
次に新約聖書に見られるGod is goodを見てまいりたいと思います。
マルコ10:17~18を見ますと、金持ちの役人がイエス様に永遠の命を得るためには、何をすればいいのでしょうか?と尋ねに来ます。
金持ちの役人は、次のような言葉でイエス様に呼びかけます
マルコ10:17 「善い先生」
その言葉に対して、イエス様はマルコ10:18で次のように言われました。
「なぜ私を『善い』と言うのか。神おひとりのほかに善い者は誰もいない。」
ここで使われている『善い』は、アガソスというギリシャ語であります。
私が使うギリシャ語の辞書には、この言葉はヘブライ語に直すとトーブであると書かれています。
ここでイエス様がおっしゃったのは、God is good だったのです。
善い先生と私のことを言うが、よい御方はただ一人、それは神なのだ。イエスはそこで、神が善い御方であり、私を善いと呼ぶなら、私が神であるのだと、金持ちの役人に告げておられるのです。
3、すべてを益に変える神
善い神様が、いつでも私たちによいことをしてくださる。
このメッセージを準備しているときに、神様が思い出させてくださった聖書の言葉があります。
ローマの信徒への手紙8:28です。
「神を愛する者たち、つまり、ご計画に従って召された者のためには、万事が共に働いて益となるということを、私たちは知っています。」
私たちの多くが一番心惹かれる「益となる」という言葉ですが、それは自分にとって都合がよい『益』ではないのです。
日本語で「益」と訳されているギリシャ語は、本当は、善と訳すべき言葉であります。ギリシャ語のアガソスです。ヘブライ語のトーブです。
この言葉を書いたのはパウロです。パウロはこの言葉を語っているときに、自分が受けている、また受けてきた迫害のことを思い起こしていただろうといわれるのです。
万事というのは、「どうして自分がこのような目に遭わなければいけないのか」ということが含まれるのです。それは試練であったり、病気であったり。しかし何よりも、迫害でした。クリスチャンになったのに、福音を伝えているのに、どうして迫害を受けるのか?
しかしパウロは続けて語るのです。
神様は、そこから善いことをしてくださる。善いものを作り出してくださる。トーブとは、調和がとれている、美しいこと、あるいは、恵み深いことであると申しました。
自分にとっての利益以上に素晴らしい、神が善いものを作り出して下さる。美しいことをして下さるとパウロはここで告白しているのです。