2022年6月26日の説教要約 「信仰を保つ」

2022年6月26日の説教要約
 「信仰を保つ」  照内幸代牧師 
  《ペテロの手紙1:5章8~14節

 

 ペトロは本日の聖書箇所において、「信仰をしっかりと保ち、悪魔に立ち向かいなさい」と呼びかけているわけですが、一体どのようにしたら「信仰をしっかりと保つ」ということが可能になるのでしょうか。

 8節で、悪魔はお腹を空かせて食べ物を探しているライオンのように、私たちの中で獲物になる者を探して歩き回っていると言うのです。何とも恐ろしい姿ですね。そんな強固な悪魔を前にして、ペトロは私たちに「信仰をしっかりと保ち、悪魔に立ち向かいなさい」と言っているわけですが、そんな恐ろしい悪魔を前にして、それは何とも私たちにとって難しい勧めのように聞こえます。  しかし、私は、ペトロもそれを分かっていて、あえて私たちにこのように語り掛けているのではないかと思うのです。 ペトロは8節の冒頭でこう言っています「身を慎み、目を覚ましていなさい」。どこかで聞いたような言葉です。そうです、これは他ならないペトロ自身が、かつてゲッセマネの園で主イエス様から語られた言葉なのです。

彼自身、身を慎み目を覚ましていることの難しさを知っています。しかも、自分はその誘惑に負けて、結局は主イエス様を園で見捨てて逃げ去り、主イエス様が裁判にかけられるときは遠く離れて付いて行き、三度も主イエス様を知らないと言ってしまったのです。とすると、「身を慎み、目を覚ましていなさい」「信仰をしっかりと保ち、悪魔に立ち向かいなさい」というこれらの言葉は、自分たちで努力してとか、なんとか工夫と知恵をこらして自力でという響きではないということになります。

ペトロはこのように続けています(10節)。これこそ、ペトロの伝えたかったメッセージではないかと思うのです。信仰をしっかり保ち、悪魔に立ち向かう秘訣は、神ご自身の内にあるということです。「あらゆる恵みの源である神、キリストを通してあなたがたを永遠の栄光へ招いてくださった神ご自身が」わたしたちを「強め、力づけ、揺らぐことがないようにしてくださいます」と語っています。

今ペテロは、諸教会に対して(8節-9節)と書いているのは、かつてのイエス様のことばを思い起こし、「あなたが立ち直ったときには、兄弟たちを力づけてやりなさい」という主イエス様のお言葉に励まされているからです。自分自身の力ではない。自分は挫折してしまった。しかし愛と恵みの主が自分をもう一度弟子として招いてくださり、「あなたが立ち直ったときには、兄弟たちを力づけてやりなさい」というお言葉をくださったから、かつてサタンの試みに遭った者として、ペトロは私たちに励ましを語っているのです。

 ペンテコステは教会の誕生日だと言われています。主イエス様が召天された年から今日まで、約2000年間、教会は聖徒たちによって守られ、その信仰が受けつがれてきました。ではそれは、聖徒達が立派だったから、迫害の中も、天災が襲うときも、今日まで続けて来られたのでしょうか。そうではなく、「あらゆる恵みの源である神、キリストを通して…永遠の栄光へ招いてくださった神ご自身が」、教会に連なる聖徒たちを、「強め、力づけ、揺らぐことがないようにして」くださったからではないでしょうか。私たちを揺るぎない土台としてくださる主が、私たちの内に働いてくださるから、私たちは信仰に立って悪魔に立ち向かうことができるのです。